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あっち向いてホイ

創作や企画の呟き、落書き、アイディアなどが放り込まれるブログ

休日の過ごし方

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休日の過ごし方

創作のイメージSS




▽ //休日の過ごし方


料理、裁縫、読書……いろんな趣味に手を出してみたものの、 結局どれも定着しなかった。
休みの日にふと時間を潰すことを考えた場合、掃除くらいしかやることがない。
しかし、休みの度にあちこち時間をかけて掃除をしていれば次第に汚れはなくなっていくのが必定。
それでもまだすることがないかと探して始めたクロス掛けも、拭く場所が無くなり我に返る。
――しまった、もうやることがない。
朝から部屋の掃除を始め、まだ昼前だった。
先日購入したマルチクロスがどんな汚れも激落ちを売り文句にしているからといって、
いくらなんでもあっけなさ過ぎる。
無趣味ともいえるマリアにとって、休日を有意義に終えることは自らに課した課題だった。
これで終わらせてなるものかとマルチクロスをポケットにねじ込み、
マリアは午後のスケジュールを埋めるべく新たな清掃場所を求めて部屋を後にした。


「――は~い。開いてますよ~ん」
使い魔の部屋のドアをノックすると、間延びした声が返ってきた。
部屋の主は自ら来訪者を迎え入れる気などさらさらないらしく、それ以外の反応はない。
実はこの二週間、マリアは自身の使い魔であるベルフェが部屋を移して以来一度も部屋の様子を窺いに来たことがなかった。
契約を果たし功績を上げた使い魔には、それまでよりワンランク上のバスルームとトイレ付きの広めの個室があてがわれる。
それは見方を変えれば居住部の要掃除箇所が増えるということでもある。
そこへ怠惰を冠する勢力に所属していたズボラが生活するとなれば、未来に見える光景は一つしかない。
以前の狭い部屋でも掃除もせずになすがまま、ゴミや汚れを全く気に留めず生活していた悪魔が、
転居を機に小綺麗な生活を……などと、天地がひっくり返ってもあり得ないだろう。
深呼吸をしてからドアを開けたマリアが見たものは果たして、予想を違わぬ混沌だった。
「あ~! マリアちゃんだ~、いらっしゃーい」
脱ぎっぱなしの服、無造作に放られたゴミや菓子袋、それに紛れるようにして散乱する使い魔用の作戦要項。
部屋の中央に陣取った混沌の主は、日本製の「こたつ」と呼ばれる背の低い布掛けテーブルに半身を埋め、
だらしなくごろごろしている真っ最中です、といった体でマリアを歓迎した。
「どしたの? 今日は訓練もないのに……」
「どうせ新しい部屋もこんなことになってるだろうと思って、掃除をしに来たのよ」
予期してはいたが、あまりの部屋の散らかり様に少女の声と表情は自然と固くなる。
部屋の床に散らばった菓子の空き袋やら娯楽誌やらをモップでかき分け、用具入れから選別してきた清掃用具を搬入する。
「掃除~? めんどくさーい。俺はやらないよ~?」
「元々期待してません」
間髪入れずにぴしゃりと言い放ち、埃避けの布巾を頭に巻いたマリアは掃除にとりかかった。
新たな戦場を見つけた少女の目はまさしく、鍛え上げられた冷酷無比な戦士のそれだった。
あれは要るだの要らないだの脇で漏らすだけで一向に動こうとしない悪魔の言葉を全てスルーし、
自身がゴミであると認識したものを片端からゴミ袋へ投じていく。
時折上がる、「あー」だの「うー」だのといった呻き声にも一切の反応を殺し、
狙った標的は決して逃さないスナイパーのように塵一つ逃すものかと掃除機がけをこなせば、
散らかっていた部屋は見る間に元の景観を取り戻し、残す荒れ地はベルフェが寝転がる場所のみとなった。
「ああっもう。そこ、邪魔だから退いて!」
寝そべったままの使い魔を掃除機の吸い込み口で威嚇し、こたつの外へ出るように促す。
「そんな~、ここを追い出されたら俺はどこへ行けばー……」
「部屋の隅に立つか座るか、とにかくコンパクトな体勢で大人しくしていて」
「う~~何かそれ、酷くない? ここは俺の部屋なのに〜」
マリアはうだうだとこたつから出ることを渋っているベルフェの首根っこを容赦なくひっ掴み、
全体重をかけて大きな身体を安住の地から引きずり出した。
廊下に閉め出さない分、彼のことを尊重してはいるのだが、マリアの気遣いは分かり難い。
「今日って、人間はお休みの日でしょ?
普通は遊んだり、家でごろごろしたりする日なんじゃないの?
なのにどうしてマリアちゃんは、お掃除なのかな~?
なんで俺は自分の部屋の隅っこに追いやられてるんだろうな~」
結局、部屋の片隅で小さくなることを選んだベルフェが、
せっせっと働くマリアを観察しながら思考を垂れ流しにしている。
「うるさいわね。……時間があるから、掃除しようと思っただけよ」
「あ……マリアちゃんって、もしかして友達いないの?」
一呼吸の後、使い魔の顔面に掃除機の吸い込み口がめり込んだ。
使い魔が契約主に投げた一言も、それを受けて少女が放った一撃も、両者共にクリーンヒットだった。
「あまり不用意なことを言うと、まとめてゴミの日に出すわよ」
低い声を発したマリアは、衝撃でよろめき、
背中から洗濯物の山に沈没したベルフェに構わず掃除を続ける。
どうして今の会話の流れで契約主の友人関係に行き着いてしまうのか。
あまり触れて欲しくなかった所を指摘されて嫌でも心がささくれ立つ。
この使い魔は、普段ふにゃふにゃして言葉尻もだらけきっているくせに、
たまに鋭いことを言ってくるから油断ならない。
(……ええ、どうせ私には休みの日に一緒に出掛ける友達なんていませんとも。
だから何だっていうのよ。休日くらい一人で過ごせるんだから……!)
今週だってこうして掃除をして、ちゃんと有意義な休日を過ごしている。
だからたとえ、気軽に買い物に連れ立って行けるような気の許せる友人が一人もいなくとも、
何も問題はない。何も、問題は、ない。
大事なことなので心の中で二回言った。
「そうよ、一人だって何も困らないし……」
「ん? マリアちゃん、何か言った~?」
「はっ――……な、なんでもないから!」
恥ずかしいことに、頭の中の言葉がいつの間にか口に出てしまっていたらしい。
向こうも掃除しなくっちゃと言って誤魔化して、バスルームへ逃げ込んだ。
あの使い魔といると緩みきった空気の影響を受けてか、どうも気が緩んでしまうようで。
いけないいけない、と気を引き締める。
「そっちまで掃除するの~?」
後ろを振り返ると、ベルフェがこちらの様子を窺うようにして入り口に座りこんでいた。
他にすることがないのか、ベルフェは暇そうに尻尾をぷらぷらさせながら、
マリアがスポンジでタイルを磨く姿をまじまじと眺めている。
「別にあんたがそこまですることないのに。それにまだ、そっちは大して汚れてないよ?」
「水場の汚れは放置すると落ちにくくなるんだから、こまめに掃除しないと。
あなただって、綺麗なお風呂に入れた方が気持ち良いでしょう?」
「ふ〜ん……あ、じゃあこれから毎週、マリアちゃんが掃除しにきてよ。
そしたらお風呂場ピカピカで、俺大感激~」
「嫌よ。家政婦じゃないんだから」
「え〜、休みの日に俺のとこまで掃除するくらいお掃除好きなんでしょ?
だったらいいじゃんか~」
「あのね。私だって毎週毎週掃除したくてしてるわけじゃ……」
言いかけてハッとする。
これでは休日の度に必死にやることを探しているのを自分から打ち明けているようなものだ。
「……馬鹿ね、掃除ばかりしてるわけないでしょ」
咄嗟に言い繕うも、どうもぎこちない流れになってしまった。
さっきから余計なことを漏らしてばかりだ。
(……はあ。怠け者相手に何してるんだろう。来るべきじゃなかったかも……)
「あ~、そうだ!」
自己嫌悪するマリアを余所に、バスルームに使い魔の暢気な声が響く。
「次のお休みには、マリアちゃんも俺の部屋でごろごろしよーよ!
たまには俺と一緒にお休みしよう!
うんうん。それがいい、そうしよう~!」
ベルフェは一人で勝手にマリアの予定を決め、うんうんと頷いている。
「ええ? ちょっと、私の予定を勝手に決めないでったら……!」
「あれ~? マリアちゃん、何か予定入ってるの?」
「それは……ない、けど……」
「ないなら決まり~! えへへ、約束だよ〜。俺、待ってるからね~」
言い淀んでいるうちに次の休みには一緒に過ごすことが使い魔の中での確定事項となってしまったようだが、
特に予定を覆す理由も見あたらず、気が向いたらね、とだけ返しておく。
楽しみだな〜などと尻尾を振りながらにやけている使い魔を横目に、
マリアは風呂場掃除の仕上げに取りかかる。
その表情は朝よりも少し明るいものになっていた。


「たった一週間で、どうやったらここまで汚くできるの……?」
翌週、約束通り使い魔の部屋を訪れたマリアが目にしたのは、見覚えある負の光景だった。
ドアを開けた先に広がる惨状が理解できず、持参した手土産を取り落としそうになる。
「えっとね~、やっぱマリアちゃんはごろごろしてるのよりも、お掃除の方が喜びそうかなーって思って」
汚すのちょっと大変だったけど、これでいっぱいお掃除できるね! ヨカッタネ、マリアちゃん!
緩んだ顔で明るく笑うベルフェとは正反対に、少女の心は摂氏零度に凍り付く。
だらしなく床に投げ出されている使い魔の尻尾を、マリアは容赦なく踏みつけた。



〈了〉

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現在、タイトルが未定のため、
「わっふる(仮)」というテキトーすぎる名前のカテゴリーに割り振られていますが。
7つの大罪を冠する勢力に属する悪魔を使い魔に従え、
人間の女の子が戦いに恋に奮闘するという内容になる予定。

我々の欲望に忠実な創作に仕立て上げたところ、NOT一般向けとなり、
とてもじゃないが他人様には端々までお見せできません……な創作物になりました。
お陰で妄想が楽しくて仕方がありません。
そのうちゲームか何かの形に!と話していますが、
いつもそう言っては絵空事で終わっているので、どうなるかは神様も知り得ないでしょう。

これはその創作に出てくる主人公と、“怠惰”を冠する勢力の悪魔が登場人物で、
作中で二人はたぶんこんな感じの関係になるであろうというイメージSSでした。

怠惰だし……それっぽくしないと、と気の抜けた感じを出そうと思った結果、
語尾がびょんびょん伸びてました。
いや、何でもかんでも語尾を伸ばすキャラというわけじゃ、ないんだよ……?
引き締まった場面ではちゃんと喋るから!大丈夫!(何が)

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日々アホなことを考えつつネタ探しに奔走するズボラー(だらしのない人間)。
得意技は大言壮語と自給自足。
ないなら自分でつくればいいじゃない。

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